前回に続き、今回もバンカーについてお話ししようと思います。前回も言いましたが、バンカーショットはプロにはそんなに難しくないそうです。何故かと言うと、バンカーショットのインパクトは、通常のフルショットやアプローチショットに比べるとそれ程シビアではないからです。何故シビアではないかと言うと、バンカーショットはボールを直接打たずにダフれば良いのですが、そのダフれる範囲が、あまりシビアではないという事です。例えばバンカーから10ヤード先のピンを狙う場合、10ヤードのふり幅なり、インパクトの強さなりで10ヤードのバンカーショットをする訳ですが、この時ヘッドが狙った落とし場所より多少手前に入って砂を多くとりすぎた場合は、狙ったところにヘッドがキッチリと入った時に比べてボールのキャリーは短くなりますが、スピンが減りランが多くなります。逆に、狙った所よりボールに近い位置にヘッドを入れた場合は砂を取る量が少なくなるため、キャリーは長くなりますが、スピンがかかりやすくなるので、ランが少なくなります。従って、ヘッドが多少手前に入っても、ボールの近くに入ってもキャリーとランの合計距離は、10ヤードのバンカーショットをした場合は、ほぼ10ヤードになると言う事なのです。
ですから、バンカーは出すコツさえ掴んでしまえば、つまりボールの手前1センチから7センチぐらいの間に毎回ヘッドを落とす事ができるスウィングのコツさえ掴んでしまえば、あとはふり幅で距離を調整すれば良いだけなのです。でもこれは多くのアベレージゴルファーにとっては、まさしく「言うは易し行うは難し」ですよね。これが簡単にできれば、誰も「バンカーは蟻地獄」なんて思いません。
それでは、どうやったら安定して同じ場所にヘッドを落とせる様になるか。前回は堀川未来夢選手の「バンカーで一番大切なのはヘッドの落とし場所で、打ち方はどうだって良い」という動画を紹介しましたが、今回は、私がバンカー蟻地獄から脱出できるきっかけとなった、もう一つの動画を紹介したいと思います。それは石川遼選手の、この動画です。
【石川遼と楽しく学ぼう!】第4話 諦めないで!石川遼流バンカーショットは簡単です!<全5話>
石川両選手が言っていることを要約すると:
l 自分は左打でもゴルフをする。ドライバーは240~250ヤード飛ぶが、バンカーに入ると出ない。
l 右打ちの時と同じように左打でフェースを開いて上からドンと打つと、トップしたり、ダフったり、全くバンカーから出せず、バンカーが怖くなった。
l 自分の左打の経験からプロのバンカーショットの打ち方は初心者、中級者にはなじまないと思った。
l バンカーはクラブをソール出来ないので、ボールとの距離感を掴むのが非常に難しい。
l 距離感を掴むために自分は昔から、バンカーに線を引いて線の左側にヘッドを落として左側の砂を取っていく素振りを練習している。
l これによって自分の重心の位置がいかに大事か、また重心の位置とクラブの最下点の関係が体感できる。
l 人によって共通の重心の位置は無いのではないかと思う。自分の場合は左足体重にした方が線の左側の同じところを叩きやすいが、それは人それぞれなので、自分で練習して最適な重心の位置、頭の位置とクラブの最下点を掴む必要がある。バンカーショットの最下点の作り方はひとそれぞれ。
l ヘッドは運動するけれど、下半身、体の中心はあまりグラグラ動かないスィングで安定した最下点を打てる様になる。
l 全くフェースを開かずに、小さなスウィングで打っても2メートル程度のあごは楽に超えるので、ほとんどのバンカーから出す事ができる。
左打で240~240ヤード飛ぶという事は、石川遼選手の左打はほとんどのアベレージゴルファーよりも上手いと言う事です。それでも、左打ではバンカーが出ないという事は、右打ちの時と、左打ちの時では、重心・頭の位置と最下点の関係が違うという事だと思います。つまり、右打ちのバンカーショットの構えを正反対にして、左打ちで構えて自然に打った時の最下点は、右打ちの時の最下点の正反対の位置ではないという事なのではないでしょうか?「人によって共通の重心の位置はない」という事なので、右打ちの時と左打の時では当然、同じ最下点を作りやすい重心の位置も変わってくるわけです。
石川遼選手のもう一つ面白いバンカー動画があります。
【〇〇は使うな!?】石川遼プロにアマチュアでもできるバンカー攻略法を伝授してもらいました
この動画の中で、石川両選手はどうやって左打ちでバンカーが出るようになったのかを説明しています。これによると、スクエアースタンスで、手を真ん中、体重も真ん中、ボールも真ん中でフェースを開かずに、あまりコックを使わずに打てば簡単にボールは出るという事です。何故、コックを使わないかと言うと、コックを使いすぎると地面からヘッドが離れすぎてしまうので、同じところにヘッドを落とすのが難しくなるからだそうです。また、コックを使わなければシャローにクラブヘッドが入ってくるので、多少手前に入っても、それほど砂を取らずにボールが飛んでいくので、手前に入り過ぎて球がでないという事もあまりないようです。
要するに、左で打てば、当然ヘッドのコントロールも難しくなってくるので、左打では毎回、同じところにヘッドを落とす事が難しい。そこで不器用な左打でも毎回同じところにヘッドを落とせる打ち方が、手、体重、ボールが全部真ん中の構えで、ノーコックで低い所からヘッドを落とすイメージで打つ打ち方だという事です。これなら確かに簡単にバンカーから出せそうな気がします。
バンカーにお悩みの方は今回の二つの動画を参考に、一日も早くバンカー蟻地獄から脱出してください!