2025年は日本のゴルフ界にとって素晴らしい幕開けとなりました。松山英樹選手がアメリカPGAツアーの開幕戦で、2024年より始まったシグニチャーイベント(メジャーの次に位置する昇格大会)の初戦でもあるザ・セントリーをなんと35アンダーというPGAツアーの4日間トーナメントの新記録で優勝しました。松山選手、おめでとうございます!!
昨年のシグニチャーイベント8試合中4試合優勝という圧倒的な強さを見せたシェフラーが、クリスマスの食事の準備中に割れたガラスで手をケガして開幕戦を欠場したので、「鬼の居ぬ間に洗濯」的なところは多少あるかもしれませんが、、、、いやいや、それでもツアー新記録での優勝ですから、たとえシェフラーが出場していたとしても勝っていたのだと思います。
ザ・セントリーの大会の起源は1953年にラスベガスで初開催された「トーナメント・オブ・チャンピオンズ」で、2022年までは文字通り前年度の優勝者のみが参加できるトーナメントでした。しかし、リブゴルフへのトッププレーヤの大量移籍で、前年度の優勝者だけではビッグネームが足りなかったのかどうかは定かでは有りませんが、2023年からは前年度のツアー優勝者に加えフェデックスランクの上位30名を加えるようになり、2024年からは更に出場者を前年度優勝者+フェデックスランク上位50名に拡大し、大会名称も「トーナメント・オブ・チャンピオンズ」という言葉を入れずに冠スポンサー名だけのザ・セントリーに改称しました。
この大会は1999年より開催地をハワイ州マウイ島のカパルアリゾートにあるプランテーション・コースに移して行われています。カパルアリゾートは2つのゴルフコース、2つのホテル、5つのビーチ、500戸以上のビラ/コンドミニアムを擁する一大リゾート地です。私も30年ほど前に、家族旅行でカパルアリゾートのビラに滞在した事があります。当時は、現在もあるプランテーション・コース、ベイ・コースに加え、ビレッジ・コースというコースもあり、リゾート内には3つのコースがありました。
子供たちもまだ小さかったので日中はマウイ島観光やらビーチやらの家族サービスに費やさなければならなかったのですが、なんとか3コースとも回ってやろうと、一人でアーリーバード(早朝)やトワイライト(薄暮)で全3コースを制覇しました。この時、もちろんプランテーション・コースでもプレーした訳ですが、3つのコースの中で一番印象にのこっているのは、やはりプランテーション・コースです。
プランテーション・コースはその名の通り昔パイナップルの農園が有ったところに作ったゴルフコースです。プランテーションの有った丘陵地帯を切り開いてコースを作っているので、その為か、非常にアップダウンが激しく、また多くのホールのティーショットやセカンドが谷越えやブッシュ越えになるレイアウトになっています。フェアウェーは広く、ラフもあまり伸ばしていいませんが、ラフからちょっと外れると、ほとんど球を見つけることができない深いブッシュになります。距離もパー73で7596ヤードとたっぷりあるので、アマチュアには非常に難しいコースです。ここで何故4日間で35アンダーが出るのか理解できませんが、PGAんのプレーヤになった心算で理由を考えてみると、
① フェアウェイが広いのでドライバーが多少曲がってもフェアウェイに残る。
② ドライバーは余程曲がらない限りブッシュまでは行かずラフで留まる。
③ ラフに行ってもボールがスポット埋まる事が少なく、良いライで打てる場合が多い。
④ そもそも、アマチュアとは違い大きなダフリやトップはしないので谷越えや、ブッシュ越えは全く気にならない。
⑤ グリーンは平均8,722平方フィートの大きさでツアー最大。コンパクションもツアー平均よりは柔らかく、ダイレクトにグリーンをキャッチしたボールがグリーン上に留まりやすい。
⑥ グリーンは複雑な傾斜が少なく、大きな傾斜がついていても比較的判りやすい傾斜が多いのでグリーンは大きくてもスリーパットは少ない。
⑦ ティーショットは打ち下ろしでランが良く出るホールが多く、距離が稼げる。
⑧ 高い木がないので空中の障害物がほとんどない。
と、こんなところでしょうか。①については、松山選手も優勝後のインタビューでドライバーの調子は良くなかったと言っていましたし、実際ティーショットで何度も片手を離す場面がありましたが、そんな場合でもほとんどボールはフェアウェイに行っていたので、やはりこの要因が一番大きかったのではないでしょうか。
あと、これはプランテーション・コースの難易度とは関係が有りませんが、松山選手は今週はとにかくパットが入りまくっていました。去年のクリスマス後に入手しハワイに来て初めて使ったというピンタイプのセンターシャフトのパター。これがバッチリとハマった様です。
松山選手の昨シーズンのSG:Putting(ストローク・ゲインド・パッティング=1ラウンドでパッティングが貢献したストローク数)はマイナスの0.118で121位でしたが、この試合ではフィールド3位の一ラウンド平均+1.354でしたから、大きく改善しています。
松山選手は前述の通り先シーズンのSGPは121位でしたが、フェデックスランキングはシェフラー、シャウフェレに次ぐ3位とキャリアベストの成績でした。パッティングが120位でも総合では3位だったということは、パッティングが良ければ、当然フェデックスランクでも年間王座を狙えます。昨シーズンパターを変えてから無双状態になったシェフラーの様に、松山選手も今シーズン大化けすることが出来るか。2025年の松山選手の活躍から目が離せません!