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2024/12/23

コースセッティング

 今回はコースセッティングについてお話します。最近は日本のトーナメントでもかなり厳しいセッティングが多くなってきたのではないかと思います。テレビでゴルフ中継を見ていても、そう感じますが、今年の日本女子オープンが行われた大利根カントリークラブ西コースで、試合の9日後、まだラフの刈込が終わっていない状態でプレーする機会があり、プロのセッティングの厳しさを実感しました。

ボールはフェアウェイを外すと、真上から見ないと見つける事ができない程の長いラフでした。ある団体のコンペだったのですが、普通にやったらボールを探すだけで進行に多大な影響を及ぼすのではないかという事で、ラフに行った場合はキャディーさんの判断で、ボールが見つからなくてもボールが落ちたと思われる辺りからノーペナルティーで打てるという特別ルールが採用されました。また、スルーザグリーン6インチプレースなので、深いラフに行ったボールも芝に浮くようにそっと置くことができ、普通のラフからノータッチでやるよりも、むしろ私にとっては打ちやすかったです。ちなみに、私もつい最近知ったのですが、6インチリープレースというのは間違いで、6インチプレースが正しいそうです。言われてみればその通りなのですが、英語のreplaceというのは「元の所に置きなおす」という意味なので、ボールをマークして同じところに置きなおすのがリプレースで、6インチ以内の違う場所に置くのはプレースになる訳です。

日本女子オープンは竹田麗央選手が10アンダーで優勝しましたが、16位タイまでの19人が4日間アンダーパーで回っています。このタフなセッティングで、女子プロおそるべし!

今年はこの他にもう一回、プロのトーナメントのラフを経験する機会がありました。場所は房総カントリークラブ房総ゴルフ場の東コースです。ここは、2027年に男子の日本オープンの開催が決まっており、現在バンカーを増やしたり、木を切ったり、コース改修の真っただ中です。

今年の9月から10月の間は日本オープンの準備の一環として、ラフの刈高を通常より10cm前後長く設定して営業していました。何も3年も前から準備しなくても良いのではと思ったのですが、2027年を完璧な状態で迎えるには、最低ででも3回ぐらいはラフを伸ばして試行錯誤を行わなければならないという事でしょうか。

そんなにラフが伸びているとは露知らず、いつものメンバーで気楽にスタートした訳ですが、出だしのティーグラウンドに立った瞬間、明かにいつもと景色が違うのがわかりました。ラフが長い!実際にティーショットを打ち終えると、それからが大変な一日の始まりでした。なにしろフェアウェイから少しでも外れると日本女子オープンの大利根カントリー同様、真上から見なければボールは見つかりません。プレー時間の大半をボール探しに費やしていたのではないかと思うほどです。

ボールが見つかっても、またそこからが大変です。深いラフなので、一打のペナルティーを素直に受け入れ、ショートアイアンで確実にフェアウェイに戻さなければならないのですが、それが出来ないのがアヴェレージゴルファーの悲しい性。100回に一回あるかどうかのナイスショットを夢見て、ついピンに向かってグリーンまで届くクラブを握ってしまいます。結果は当然ミスショットで2打目もラフへ。結局ラフからラフを渡り歩いて、漸く4オンした後に、「やっぱり素直にフェアウエイに戻しておけば良かった、、」と、そこでは一旦反省するも、次のホールではまた同じ過ちを繰り返すと言った、バカ丸出しのラウンドでした。

 もう一つ、ゴルフを難しくするのがグリーンの速さ(スティンプ)と硬さ(コンパクション)です。速いだけの硬くないグリーンなら、パッティングとアプローチの距離感だけの問題ですから、まだ何とかアマチュアにも対処できます。私のホームコースのカレドニアンゴルフクラブは高速グリーンを売りにしており、マスターズと同じ14フィートに近づけようと日々、グリーのメンテナンスに余念のないゴルフ場ですが、そんなカレドニアンでプレーしても、スリーパットは多少多くなるかもしれませんが、もともとスリーパットが多くて、アプローチなかなかワンピンに寄らないアマチュアにとっては、逆にそれほどスコアに大きな影響は無いのではないかと思います。

やっかいなのは硬いグリーンです。硬くて速いグリーンだとミドルホールのセカンドでグリーンをキャッチしても、プロのようにちゃんとスピンを利かせた高い球が打てないと、なかなかグリーン上でボールが止まってくれません。最悪なのは硬くて速い砲台グリーンです。砲台グリーンを硬く速く仕上げられてしまうと、グリーンをダイレクトにキャッチしたボールはグリーンをこぼれるに止まらず、ガードバンカーに入ってしまったり、グリーンの遥か奥まで転がってしまったりと、悲惨な結果になってしまいます。

コースのコンディションの中で、グリーンが柔らかいと言うのが、プロにとっては一番簡単な状態だそうです。福島県の白河にグランディ・那須白河というゴルフ場があります。私も好きなコースで何回もプレーしていますが、那須連山を望む山岳地帯にある為か、夏場は夕立が多くフェアウェイとグリーンがいつも柔らかい状態になっています。直接球がグリーンに乗れば必ず深いディポットができ、ボールにベッタリと土がつく柔らかさです。フェアウェイも、ベント芝という事もありますが、打ち下ろしのホールでドライバーでフェアウェーの真ん中に打ったティーショットのボールが、地面に半分以上潜り込んで見つからなかったこともあるほど、柔らかいです。アイアンを打つと私でもプロさながらに草履のようなターフを取る事ができます。フェアウェイが柔らかいため、ドライバーのランが殆ど出ず、アマチュアにとっては表示以上に距離が長く感じられる難しいコースです。

ここで2014年から2021年まで、男子ツアーのダンロップ・スリクソン福島オープンが開催されていました。松山英樹選手も2015年に出場し4日間でトータル18アンダーの9位タイでしたが、最終日には8アンダーで回っています。この時、松山選手は「このコースは18ホール全部がバーディーホールだ。」とコメントしていたのを聞いて、驚いた覚えがあります。私にとっては、あんなに難しいコースなのに! 結局、プロにとっては、グリーンはもとより、フェアウェイも変に球が転がらない柔らかい方が、キャリーだけコントロールしてプレーすれば良いので簡単なのですね。

日本のトーナメントも常に日本オープン位の厳しいセッティングにすれば、世界で通用するプロも増えてくるのではないかと思いますが、トナーメントを開催するゴルフ場も、難しいセッティングを仕上げるのは時間も手間もかかる事なので、通常の営業との兼ね合いでなんとも難しい所なのでしょうか、、、、、