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2024/08/19

プレイオフシリーズ

プレイオフ初戦のフェデックス・セントジュード選手権、松山選手が見事アジア人として初めてプレイオフシリーズで勝ちました!最終日5打差リードでスタートした松山選手、3日目終わって2位は今年がルーキーイヤーのダンラップ。一番怖いシェフラーには7打のリード。私はよっぽどの事が無ければ松山選手の優勝は間違いないと思っていました。しかし試合は思わぬ展開に。松山選手が最終ホールのティーショットをフェアウェイに置く迄、いや、セカンドショットをグリーンに乗せるまで、優勝の行方がわからない緊迫した試合でした。まあ、見ている方はハラハラ、ドキドキで最後まで大変面白かったですが、楽勝ムードが一転、一時は首位を明け渡す展開になるとは、ゴルフって本当に何が起こるかわかりませんね。危うくオリンピックの男子ゴルフに続き、大逆転劇となる所でした。

松山選手の最終日のティーオフは日本時間で夜中の240分だったので、松山選手の優勝をライブで見ようと私は10時に寝て2時半に起きました。2時半からテレビを見ると言っても翌日は(当日ですね、既に)仕事なので、優勝を確信してベッドの中でうとうとしながら安心して観戦するつもりだったのですが、松山選手が12番でボギーを打ってからは目が完全に覚め、食い入るようにテレビに見入ってしまいました。

最終日、松山選手は出だしからあまり調子が良くなかったですね。1番で2.5m程のバーディーパットが入っていればぶっちぎりの優勝だったかもしれませんが、これが入らずパー発進。3番ロングでも3打目のアプローチを失敗してバーディーが取れず、この日の初バーディは10m以上のロングパットが入った8番のショートでした。結果、前半は1アンダーでしたが、他の選手も伸び悩んでいたので、この時点ではまだ2位以下と5打以上のリードが有りました。

11番のバーディーで19アンダーになったところで、「これで優勝行けるかな」と思うや否や、12番で3パットのボギー。14番は1.5mのパーパットを入れて何とか凌ぐ事が出来たので、ここでリズムを取り戻して仕切り直し、と思った矢先、14番ショートでなんと池ポチャ!オリンピックでのラームの様に崩れてしまうのかと思いましたが、ドロップした所から30メートルぐらいのアプローチを2m弱に寄せて何とかナイスボギー。トゥデイ、イーブンパーにしてしまいましたがこの時点ではまだ2位のホヴランド、シャウフレに2打のリード。なんとか、逃げ切れるかと思ったのですが、続く15番でティーショットをラフに入れてしまい、残り130ヤード弱のセカンドをグリーン左ラフに大きく外し、ここから池に向かってのアプローチが打ち切れず3オンならず。結果4オン2パットのダブルボギーとなってしまい、遂に16番パー5でバーディーを取って16アンダーにしたホヴランドに逆転を許してしまいました。

それでも16番パー5を残している松山選手はこの時点でまだ実質的には並ばれたと言った状況でしたが、バーディマストの16番でピンまで15m弱のラフからのサードショットが寄らずにパー止まり。しかし、ホヴランドが17番でボギーをたたき、トップタイに並ぶと、難しい17番でラフからピン左手前8mにナイスオン。すると、なんとこのロングパットが入って再び単独トップに。最終18番はパーで優勝ですが、殆どの選手がティーショットは右のバンカーか左の池といった難関ホール。解説者が「今日は18番でフェアウェイにいったのは見た事がありません。」と不吉な事を言う中、松山選手は3番ウッドで見事にフェアウェイをとらえ優勝を90%手繰り寄せました。セカンドは残りピンまで158ヤード。グリーンの左は池でピンも左。当然グリーンセンターに固く乗せてくると思いきや、何とアグレッシブにピンの左2mにナイスオン。このシチュエーションでピンより左に打てるなんて、松山選手はどういう精神力をしているのでしょうか?これを見事に沈めて、バーディー。結局2位に2打差を付けて、松山選手の自作自演とも言っていい劇的な優勝でした。

今週の松山選手は何と言ってもパッティングがよかったですよね。今週4日間を通したSGP(ストロークゲインドパッティング=パッティングによる貢献打数)は8.201でフィールド1位で、4日間の平均だと、SGPはプラス2.0です。ちなみに松山選手の今シーズンのSGPがマイナス0.065、全体の106位です。このパッティングの成績でも、今シーズンはプレイオフシリーズに8位で入ってきている活躍だったのですから、松山選手もシェフラー同様「パターが入れば優勝」と言えるくらい、ショット力が優れた選手と言っても過言ではないでしょう。

こんなにパッティングが良くなったのは新しいパター(エースパターと同じくスコッティ―キャメロンのピンタイプ)に代えたのが功を奏したのか、はたまた打ち方を少し変えたのかは良く判りませんが、解説の佐藤信人プロは「以前に比べると小さいストロークで強くヒットする様になった様に見えます。」と言っていました。以前の松山選手は、私の素人目にもゆっくりと大きな振幅で流し込むようなパッティングをしていた様に見えました。このような打ち方は、ヘッドがオートマチックに仕事をしてくれる慣性モーメントの高いマレットタイプの方が合う打ち方です。

ピンタイプの様な操作性の良いブレードのパターに合うのは小さいストロークで強くヒットする打ち方です。この打ち方で有名なのはタイガー・ウッズですが、タイガーのエースパターは言わずとしれたスコッティ―キャメロンのピンタイプです。松山選手も殆ど一貫してピンタイプのパターを使用していますが、ようやくパターと打ち方がマッチしてきたと言う事でしょうか?

パッティングに覚醒した松山選手、フェデックスカップの年間チャンピオンも現実味を帯びてきました。プレイオフの残り2戦が楽しみです!