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2024/06/17

スピン

今回はスピンについてお話しします。 ゴルフでスピンと言えば、皆さんはバックスピンを思い浮かべると思いますがそれで正解です。パター以外のクラブでトップなどせずにキチンと打った場合は、基本的には全てボールにはバックスピンがかかります。従ってゴルフでスピン量といえば、バックスピンの量になります。英語ではSpin Rate と言われ、一分間の回転数(rpm=revolution perminute)で表されます。5500rpmと言えば一分間に5500回転していると言う意味です。

では何故、バックスピンがかかるかと言うと、一番の理由はクラブにロフトがついていているためです。仮にロフトが全くない、フェイス面が地面に対して垂直のクラブが有ったとします。このクラブで地面と水平に真横からボールを打つと、バックスピンもトップスピンもかからずにボールは無回転で飛んでいきます。しかし、クラブにはロフトがあるのでクラブがボールに当たるとボールがクラブフェースに乗っかりますが、その時ボールとクラブフェースの間で強烈な摩擦が生じてボールがクラブのロフトに沿って回転しながら弾かれます。この時にバックスピンがかかる訳です。

バックスピンを決定する大きな要素は、ヘッドスピード、ロフト、アタックアングル、ボールの硬さの4つです。

ヘッドスピードは速くなればなるほど、つまりボールにヘッドが強く当たれば当たるほど、クラブフェースとボールの摩擦が大きくなり、スピンが多くかかります。

次にロフトですが、ロフトは大きければ大きいほどスピンがかかります。ロフトの一番大きいウェッジで打てば、一番スピンがかけやすいというのは、感覚的にわかっていただけると思います。ただし厳密に言えば、スピンに影響を与えるのはクラブ自体のロフトではなく、クラブがボールに当たった時のロフト角です。これをダイナミックロフトと言います。

3番目の要素はアタックアングルです。アタックアングルというのはクラブの入射角の事です。アイアンの様にダウンブローに上から打てばアタックアングルはマイナスに、ティーアップしたボールをアッパーブローに打てばアッタックアングルはプラスになります。アタックアングルのマイナス角度が大きければ大きいほど、つまりダウンブローが強ければ強いほどスピンが多くかかります。因みに、ダイナミックロフトとアタックアングルの間の角度、つまりダイナミックロフトからアタックアングルを引いた角度をスピンロフトと言います。例えば、クラブのロフトが50°でボールに当たった時のロフト(ダイナミックロフト)が48°だとします。この時、マイナス3°のアタックアングル(3°のダウンブロー)だとするとスピンロフトは48°からマイナス3°を引いて51°になります。当然、スピンロフトが大きければ、スピン量も大きくなります。

最後にボールの硬さです。このボールの硬さっていうのが、ちょっと判りづらいんです。皆さんはスピン系のボールとディスタンス系のボールのどちらが硬いと思いますか?通常ボールの表面(カバー)はディスタンス系のボールの方が硬くて、コアはスピン系のボールの方が硬いんです。ですから一概にどっちが硬い?と聞かれても、カバーのことなのか、コアのことなのか、わからないので答えようが無い訳ですが、一般的にソフト系のボールって呼ばれているボールはコアがソフトなボールです。

さて、ボールとスピンとの関係ですが、表面は軟らかい方が、クラブフェースとの間の摩擦が大きくなってスピンがかかり易くなります。逆にコアは軟らかい方がボールが潰れてスピンがかかりにくくなります。何故かと言うと、ボールはつぶれると楕円形になり飛んでいきますが、楕円形のボールは真ん丸のボールに比べると回転しにくいからです。ディスタンス系のボールはヘッドスピードがプロ程早くない一般アマチュアでもボールが適度に潰れて低スピンになる様にコアが軟らかくなっています。ボールが潰れるとゴムのボールが良く弾むようなイメージから初速が早くなるような気がしますが、これは逆です。硬い、潰れにくいボールの方が初速は出ますが、初速は多少遅くても低スピンの方が飛距離に与えるメリットが大きいので、ディスタンス系のボールは軟らかいコア、硬いカバーでなるべくスピンが掛からない様にしている訳です。

スピンと飛距離の関係ですが、スピンが多すぎると球がふけあがってしまい、飛距離はでません。飛距離だけを考えるとスピンは少ない方が有利です。ただし、ものには限度というものがあって、スピン量も少なければ少ないほど良い、と言う訳ではありません。適正スピン量よりスピン量が少ないと、ボールがドロップしてしまい球が上がらずキャリーが出ません。適正なスピン量はヘッドスピードによって変わってきますが、ヘッドスピードが40前後の一般アマチュアの適性スピン量は2500rpmくらいだそうです。

先程、スピンを決定する要素はヘッドスピード、ロフト、アタックアングル、ボールの硬さの4つだと言いましたが、その他にもシャフトの硬さや、フェイスの何処でヒットしたかでもスピン量は変わってきます。軟らかいシャフトの方が硬いシャフトよりもスピン量は多くなります。ですから、ヘッドスピードが早くて、アイアンのダウンブローの度合いが強い男子プロは充分にスピンの掛かった高い球が打てるので、それ以上の無駄なスピンを抑えるためにも、スティールシャフトを使うプロが多い訳です。逆にヘッドスピードが遅く、ダウンブローに打てない多くのアマチュアはスピンの掛かりやすいカーボンシャフトのアイアンを使った方が、番手なりのスピンの効いた高い球を打ち易くなります。

次回に続く

 

続く