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2024/05/14

マレット型パター

ローリー・マキロイがウェルズファーゴ選手権(202459日~12日 於クエイルホロークラブ)で、首位から1打ビハインドでスタートした最終日にトゥデイ6アンダーをマークし見事逆転優勝を果たしました。マキロイはこの日、7番までは1バーディー、1ボギーのイーブンパーでプレイしていましたが、8番から大爆発し、15番までの8ホールで2イーグル、4バーディーの6アンダーをたたき出し、17番を終わった時点では首位でスタートしたシャーフェレに7打差を付けていました。最終ホールこそ池に入れてダブルボギーをたたきましたが、終わってみれば5打差の圧勝。同大会4勝目をマークしました。

マキロイの最終日のSGP(ストロークゲインドパッティング=パットがどれだけスコアに貢献したか)はフィールド1位でプラス3.9。つまりザックリ言うと最終日の6アンダーの内、4ストロークはパッティングに依るものだと言う事です。もともとマキロイはショットのスタッツはどれも素晴らしいのですが、パッティングはあまり良く無くて、この試合に入る前のSGP87位でした。ウェルズファーゴでは4日間通して8位のSGP(最終日は1位)だったので、この結果最新のSGP61位に上昇しましたが、それでも彼の他のスタッツに比べれば非常に悪い順位です。

今回の優勝から良くわかる事は、マキロイはショットが良いので4日間フィールドで8番目位の良いパッティングが出来れば、圧勝してしまうと言う事です。

これと全く同じ事がスコッティ―・シェフラーにも言えます。シェフラーのSGPの順位はなんと97位です。シェフラーはSGP以外のスタッツはSGAround-the-Green(所謂グリーン周りからの寄せの貢献度)5位という以外は全て1位ですから、SGPのスタッツだけ跳び抜けて悪いわけです。但し、このスタッツは過去30試合のものなので、直近5戦で4勝と言う異常な勝ち方をしている今シーズン10試合のSGP2.851で堂々の1位です。シェフラーもパットさえ入れば優勝すると言う事です。

タイガー・ウッズがシェフラーに関してこんなコメントをしています。

「彼はそこそこのパットをすれば優勝。グレートなパットをすれば、ぶっちぎって優勝。パットがダメな週でも優勝争いをする。彼はそれだけ、凄いショット力を持っている。」

 実際今シーズンのシェフラーはSGP0.8以上の4試合は全て優勝。SGP0.8以下だけれど、プラスの週は3位タイと2位タイ。SGPがマイナスの週は5位タイ、6位タイ、17位タイ、10位タイという結果となっています。

 シェフラーのパッティングが劇的に良くなった切掛けはマキロイの一言です。2月に開かれたジェネシス・インビテーションでマキロイがCBSのゲストコメンテーターとして呼ばれた時に、パッティングに悩んでいるシェフラについて訊かれ、マキロイ自身がブレードのパターを使っていた時の経験から「ブレードの場合は狙ったところに打ち出すのに完璧なストロークが必要だけど、マレットの場合はストロークのミスに対して若干の許容範囲がある。だから、スコッティ―がマレットを試すのを見てみたい。」とコメントしました。

このコメントを受けてか、又はたまたまシェフラー自身もマレットを使おうと思っていたタイミングにマキロイのコメントが有ったのかは判りませんが、シェフラーは次戦のアーノルドパーマー・インビテーションでマキロイと同じマレット型のスパイダーを使い、これが入りまくり2位に5打差を付け圧勝しました。

ちなみにシェフラーの優勝後、マキロイは「もう今後、絶対彼にアドバイスはしないよ!」と笑ってコメントしたそうです。

パターをスパイダーに代えてから、もともとスバ抜けたショットだけで既にワールドランキング1位に上り詰めていたシェフラーが、パッティングまで1位になってしまった訳ですから、まさしく「鬼に金棒」ならぬ「シェフラーにマレット」で、現在はもはや誰も彼を止める事はできない無双状態です。

 皆さんいいですか、よーく聞いて下さい。世界2位のプレーヤーが「ブレードよりマレットの方がミスに強くて安心感があるからマレットを使った方が良い」って言って、そのコメントに従った世界1位のプレーヤーがマレットに代えてから5戦4勝してるんですよー。世界1位、2位より当然パッティングの技術が大きく劣る、と言うより比べ物にならないマチュアゴルファーが、ブレードのパターを使う意味って有るのでしょうか? 私は、シェフラーのこのパター変更を切っ掛けに、今後ブレードのパターを使うゴルファーはどんどん減っていき、今はまだまだ使用者が多いピンタイプのパターも、且つて一世を風靡したL字やT字のブレードパターと同じ道を辿る事になると予想します。

実際にトッププロの世界では、既にブレード離れが起こっています。現在ゴルフ世界ランキングトップ10の中でブレードパターを使っているのは6位のルドビグ・オーベリーだけです。それ以外の9名は全員マレットタイプのパターを使っています。まさしくパット・イズ・マネーの世界ですから、プロは皆、少しでも良く入るパターを日々探し求めているのです。

リッキー・ファウラーの復活に大きく貢献したオデッセイのマレットパター、ジェイルバードはウィンダム・クラークを始め多くのプロに使われる様になり、現在PGAツアーでは18~20人のプロがジェイルバードを使っているそうです。

それに付けても松山選手です。松山は現在SGP-0.395153位です。パッティングで1ラウンド毎に0.4打フィールドの平均を下回っていると言う事です。松山は過去にマレットパターを試した事が何回かありますが、それ以外はほぼ一貫してスコッティ―・キャメロンのブレードパター(ピンタイプ)を使っています。松山は、タイガーと同じスコッティ―キャメロンのピン型を使って勝つ事にこだわりがあるのかもしれませんが、SGPは何年にも渡ってマイナスが続いているのも事実なのですから、この辺でブレードに見切りを付けて、マレットに持ち替えるのも良いのではないでしょうか。大きなお世話ですが、、、

でも、もし松山のSGPがプラスだったら、少なくともあと4~5回は優勝を重ねているのではないでしょうか?パターを替えればSGPが良くなるとは限りませんが、シェフラーの例から、良くなる可能性は大いにあります。松山がスパイダーやジェイルバードを使ってシェフラーの様に勝ちまくるのを見てみたいと切望しているのは私だけでは無いように思います。

 マキロイ、松山にもマレットタイプのパターを使う様に言ってくれ!